はじめに:MBTI診断の“ブレ”に悩む人が急増中?
近年、SNSや自己分析ツールとして多くの人が活用しているMBTI(16タイプ性格診断)。しかし、いざ何度か受けてみると、「前回はINTPって出たのに、今回はINFPになった!」と結果が変わってしまう、いわゆる「ブレ」を経験する方が少なくありません。
- 「MBTIは当たらないの?」「精度が低いの?」
- 「自分の回答が悪いの?」
本記事では、このような疑問を解消するために、初心者が陥りがちなMBTI診断のミスや、結果がブレる原因をわかりやすく整理し、それぞれに対する対策を提案します。正しい知識を持って診断を受ければ、自分のタイプをより安定的に把握できるはず。ぜひ最後までご覧ください。

MBTI診断とはそもそも何か? おさらい
MBTI診断の基本概要
- MBTI:Myers-Briggs Type Indicatorの略
- 4つの指標を組み合わせて、全16タイプのいずれかを導き出す性格検査
- 外向(E) / 内向(I)
- 感覚(S) / 直観(N)
- 思考(T) / 感情(F)
- 判断(J) / 知覚(P)
他の記事でも詳述していますが、MBTIはユング心理学をベースに開発され、世界的に普及している一方で、**「結果が変わりやすい」「学術的根拠に限界がある」**などの批判も存在します。
なぜ結果が変わりやすいと言われるのか?
- 質問項目が多義的で、回答者の解釈に左右されやすい
- そのときの気分や状況によって回答傾向が変わる可能性
- 回答者が**“理想の自分”をイメージ**して答えるバイアスがかかりやすい
こうした点が、MBTIの結果が安定しない最大の要因とされています。しかし一方で、「自分らしさを考えるきっかけ」としては大変有益で、正しく受けると一貫した結果が出る人も多いのが事実です。
「初心者が陥るミス」とは? MBTI診断がブレる5つの原因
ここからは、初心者がよく陥りがちなMBTI診断のミスを具体的に5つ紹介します。これらを踏まえて、対策を講じることでより安定した診断結果を得られるはずです。
1. 理想の自分を想像して回答している
ミスの概要
多くの初心者がやりがちなのが、「自分がそうありたい」「周囲に良く思われたい」という意識から、実際の行動や思考とは少し違う回答を選んでしまうケース。たとえば、職場で外向的な人が評価される環境だと、**「本当は内向型だけど、外向型の項目を選びがちになる」**などが典型的な例です。
- 「内向的だけど、リーダーシップがある人材と思われたいからE寄りの回答をしてしまう」
- 「普段は深く考えないで決断するのに、論理的に見られたいからT寄りを選んでしまう」
こうした回答バイアスを**「社会的望ましさバイアス」**とも呼びます。
なぜ起こるか?
- 社会的に魅力的とされる行動・思考に自分を寄せようとする心理
- 自分の**“本心”と“理想”**の区別がつかなくなる
対策
- 回答前に「今の自分」を客観視する
- 「理想」ではなく、日常の具体的行動や考え方を振り返ってみる
- **「あなたはどう思われたいですか?」ではなく「実際にどうしているか?」**を意識する
- 「日曜日に1人で過ごすのが好きか?」「飲み会の人数は多い方がいいか?」など、行動ベースで考える
2. 質問の意味を誤解している
ミスの概要
MBTI診断の設問は、場合によっては抽象的な表現も多く、「こういう場合はどちらを選ぶべきか分からない」と迷うことがよくあります。その結果、適切でない回答を選んでしまい、結果がブレる原因になります。
- 「あなたは直感を重視しますか、それとも事実を重視しますか?」
- どこまでが“事実”で、どこからが“直感”なのか、判断が難しい
- 「あなたは物事を論理的に判断しますか? それとも感情で判断しがちですか?」
- 状況によって論理的なときもあれば、感情的になるときもある
初心者はこれらの質問に対し、**「なんとなくフィーリングで答える」**ことが多く、結果ブレを招きやすいのです。
なぜ起こるか?
- 設問が抽象的で、自分の行動に置き換えられない
- 各概念(S/N, T/Fなど)の定義を理解しきれていない
対策
- MBTIの用語や概念をざっくり学んでからテストする
- 例:「S(感覚)」は“今ここ”の事実を大切にする傾向、「N(直観)」は未来や可能性を想像する傾向
- 設問を自分の日常シチュエーションに置き換える
- 「友人との会話でどんな視点を語るか?」「仕事でどんな思考パターンをするか?」など、具体的に考えてみる
3. 気分や環境の影響を強く受けている
ミスの概要
MBTIの回答はそのときの気分や置かれている環境にも大きく左右されます。たとえば、仕事で大きな成功を収めてハイテンションなときに受けたMBTIと、失敗続きで落ち込んでいるときに受けたMBTIでは、選ぶ選択肢が変わるかもしれません。
また、受検環境(カフェでリラックスしながら vs. 急いでスマホでサクッと受ける)なども、回答に影響する場合があります。
- 「最近イベント続きで社交的に動いていたからE寄りになったが、本来はI寄り」
- 「仕事の忙しさでゆっくり考えずに直観的に回答してしまい、N寄りが強く出た」
なぜ起こるか?
- 性格は完全固定ではなく、気分やモチベーション、ストレス状態に左右されやすい面がある
- 診断時の一時的な感情や環境が回答を上書きしてしまう
対策
- 落ち着いた環境・時間帯にテストを受ける
- バタバタしている状況や、極端に気分が高揚・落ち込んでいるときは避ける
- 自分の長期的な傾向を考慮する
- 「普段の自分はどうだろう?」と、数週間~数カ月単位の行動を振り返る
- 複数回受ける場合は間隔を空ける
- 1回目と2回目の受検間隔をしっかり取ることで、一時的な影響を緩和しやすい
4. 選択肢を誇張して考えすぎる
ミスの概要
MBTIの設問は二択や七段階の評価など色々ありますが、どちらかといえば「Yes/No」を強く迫られる印象を受けることがあります。その際、「どちらかといえばA」だったのに、極端に「完全にA」と答えてしまうなど、誇張した選択をする人がいます。
実際は「どちらかというと外向型だけど、かなり近い中間寄りだな」という微妙なグラデーションを無視してしまい、結果に偏りが出るわけです。
- 「普段は積極的に人と話すが、実は一人の時間も多い。でもEを選ぶときは“めっちゃE”寄りに」
- 「深く考える方といえばそうだが、たまには直感で動くときも多い。でも“N”を強く選択」
なぜ起こるか?
- 診断項目が二分法的な印象を与える
- 回答者が**「どっちかを選ぶならハッキリしないといけない」**と感じる
対策
- 中間的な回答や「ややこちら寄り」も大切
- 設問形式によっては「やや同意」「やや不同意」など中間の選択が可能なものもあるので、無理に極端な回答をしない
- 自分の思考・行動に幅があることを前提に答える
- MBTIは外向/内向といっても0か100かではなく、グラデーションを自覚して回答すると精度が増す
5. 診断の目的や文脈を意識せずに受けている
ミスの概要
MBTI診断を**「とりあえず流行ってるからやってみよう」**という程度のモチベーションで受けると、質問に対して真剣に考えず、適当な回答になりがちです。その結果、ブレやすい結果が出るのは当然と言えるでしょう。
また、診断する目的が不明確だと、「自分の仕事適性を探りたい」「対人コミュニケーションを改善したい」など、どの場面を想定して答えるかが曖昧になり、回答の一貫性が崩れます。
なぜ起こるか?
- 友達同士で「ノリ」で受けたり、SNSでの流行に乗ったりすると、目的や役立て方を深く考えない
- MBTIが多様な場面(仕事・恋愛・プライベートなど)に適用されるため、どのシーンを基準に答えるか分からない
対策
- テストを受ける前に目的を整理する
- 「自分の性格の傾向を自己分析したい」「チームビルディングで使いたい」など
- 回答する際に具体的なシーンをイメージ
- 仕事中の自分、プライベートの自分、家族と過ごすときの自分など、回答の対象範囲をある程度決める
- 目的に応じて診断ツールを選ぶ
- MBTI以外の診断が向いているケースもある(ビッグファイブ、ストレングスファインダー等)
MBTI診断の結果を安定させるための7つのコツ
ここまで紹介したミスを踏まえ、**「実際にどうすれば結果がブレずに済むの?」**という具体策をまとめました。実行できるものから取り入れてみましょう。
1. ラフに受けない。落ち着いた環境と時間で取り組む
- テストに集中できる場所・タイミングを確保
- 寝る前や休憩時間など、リラックスできて余裕のある状態が望ましい
- スマホの通知などはオフにして、途中で気が散らない環境を整える
2. 「今の自分」を基準に答える
- **理想の自分でも過去の自分でもなく、あくまで「現在の日常の行動や思考」**を意識
- 短期間の大きな感情変動(成功・失敗直後など)がある場合は、少し落ち着いてから受けるのも手
3. 質問文の意図を理解するために、あらかじめMBTIの基本を学ぶ
- 「S/N」「T/F」の意味するところを軽く勉強し、「これって自分のどんなシーンを問われているんだろう?」と具体的にイメージ
- 市販のMBTI関連書籍や当ブログの基礎解説記事を参考にする
4. なるべく具体的な日常シーンで回答する
- 「あなたは普段、会議中に率先して意見する?」→「どんな会議? 社内? 友人との話し合い?」など、実際の生活場面を思い浮かべて答える
- 「常にそうしているわけではなくても、傾向としてはどうか」を考える
5. 中間的な選択肢があれば積極的に使う
- 診断ツールによっては「強く同意 / 同意 / やや同意 / やや不同意 / 不同意 / 強く不同意」など6~7段階を設けている
- 白黒はっきりしない場合は、“やや”の部分を上手く使って自分の微妙な立ち位置を表現する
6. 同じテストを短期間に何度も受けない
- 2~3日おきに同じMBTIテストを繰り返していると、回答の記憶や意識が混ざり合い、むしろブレる場合がある
- 再テストする場合は、1カ月以上空けたうえで、自分の内面や状況が少し落ち着いてからのほうが正確性は上がりやすい
7. 結果は「参考程度」と受け止める
- MBTIを絶対の判断基準にしない
- 「自分はこのタイプかも?」と仮説を立てる手段として活用
- 結果を盲信するほどブレたときのショックも大きくなるので、柔軟に活かすのがポイント
それでもブレるときはどうする? MBTIの限界と上手な向き合い方
ここで押さえておきたいのは、MBTIはもともと完全な科学的厳密性を目的としたツールではないということです。一定の再テスト信頼性はあるものの、ビッグファイブなどと比べればまだ課題が残る部分もあります。
MBTIの限界
- 二分法(E/I, S/Nなど)の曖昧さ
- グラデーションや中間値を完全には捉えきれない
- 質問項目の抽象度
- 回答者の解釈によって答えが変わる可能性
- 気分や環境の影響を受けやすい
- 性格そのものが流動的な面もある
限界を前提とした上手な付き合い方
- 結果が変わっても、自己成長や環境変化の可能性を考える
- 以前は内向寄りだったが、社交的な環境で成長して外向性が高まっている…など
- 他の性格診断や客観的評価と組み合わせる
- ビッグファイブやストレングスファインダー、さらには周囲のフィードバックを活用
- 自己理解やコミュニケーションのツールとして位置付ける
- カルチャーフィット(職場や友人関係での適応度)をざっくり見る指標にもなる
ブレた結果の活かし方:タイプが変わったらどう考える?
もし1回目と2回目で異なるタイプが出ても、以下のステップで考えれば、自分の特性を再確認できます。
- 共通するアルファベットはあるか?
- 例:「以前はINTP、今はINFPになった」
- 共通するのはI、N、P → 変わったのはT→F
- つまり、思考(T)寄りか感情(F)寄りかが回答で揺れた
- 例:「以前はINTP、今はINFPになった」
- 自分の最近の行動・思考を振り返る
- 「ここ数カ月、人間関係で感情面を重視する機会が増えていたかもしれない」
- 複数のアルファベットの要素を併せ持っていると捉える
- 「自分は確かに論理的に考える面もあるし、人の感情に敏感な面もある」
- → TとFの両方の傾向を持つ “バイリンガル” 的な見方が可能
- まとめる
- 「だから本質的にはI(内向)、N(直観)、P(柔軟)の傾向が強く、T/Fは状況による。MBTI的に見るとINTP寄りかINFP寄り、あるいは中間」という整理ができる
こうして考えることで、たとえ“タイプ変更”が起こっても、自分の性格の幅や変化をポジティブに捉えられるようになります。
よくあるQ&A:MBTI診断のブレや疑問点
ここでは、MBTI診断初心者がよく抱く疑問にQ&A形式で回答します。
Q1. 1日に何度も受けたら結果が違うのはなぜ?
A.
同じ日に何度もやると、先ほどの回答を覚えていて操作してしまう可能性が高くなります。また、テスト自体に飽きたり、答え方がより感覚的になったりして回答が乱れるケースも。MBTIに限らず、心理検査は短期間に何度も受けると正確性が落ちるのでおすすめしません。
Q2. 会社の面接でMBTIを受けさせられたけど正直に答えた方がいい?
A.
理想を言えば正直に答えるのが望ましいです。ただし、採用面接の一環としてMBTIを使うのは本来の趣旨ではありません。会社によっては結果をどう捉えるか分からないため、実際の行動・考え方に近い回答を淡々とするのがベターでしょう。
(なお、MBTIを採用基準に用いることは倫理面・妥当性面で問題点が多いと指摘されています。)
Q3. MBTIの結果がどうしても腑に落ちない場合は?
A.
別のツールで自己分析するのも一つの方法です。ビッグファイブやストレングスファインダー、エニアグラムなど、異なる視点で性格を捉えられます。また、周囲の知人・家族からのフィードバックを聞いてみると、**「ああ、やっぱり自分はこういう人間なんだな」**と納得できるかもしれません。
Q4. 変わるのが悪いわけではないの?
A.
まったく悪いことではありません。性格は固定ではなく、環境や成長によって変化する側面を持っています。MBTIは、あくまで「そのときの回答」に基づく診断結果なので、タイプが変わる=自己理解が深まったり、ライフステージが変化したりしている証とも言えます。
診断結果をブレにくくする&活かす:まとめと今後のアクション
- **初心者が陥るミス(理想回答・抽象概念の誤解・気分の影響など)**に注意
- 落ち着いた環境・具体的な行動を思い浮かべて回答する
- 結果を鵜呑みにせず、他のツールや周囲の声も合わせて検証
- タイプはあくまで自己分析の一つの視点として活かす
正確な診断を得たい気持ちは大切ですが、MBTIを完璧に扱うのは難しいという前提を認識しておくことも重要です。そのうえで、自分の性格をより深く知るきっかけとし、対人関係やキャリア選択などで役立てると良いでしょう。

今後の記事予告
MBTI関連の記事はまだまだ続きます。たとえば、以下のようなテーマを予定していますので、併せてチェックしてみてください。
- MBTI診断の結果を仕事・恋愛・自己分析に活かす方法
- MBTIがわかる本・サイト・ツール厳選10選【2025年最新版】
- MBTIとビッグファイブの違いを比較|どちらが当たる?メリット・デメリットは?
特に、診断結果を具体的にどう使うかという視点は、多くの方が興味を持つトピックでしょう。自己理解だけでなく、チームビルディングや恋愛・結婚、友人関係など、多岐にわたる活用方法があります。
参考リソース
- Myers & Briggs Foundation
- MBTIの公式情報や歴史、各タイプの概要を掲載
- 日本MBTI協会
- 日本でのMBTIトレーニングや資格取得に関する情報
- 関連書籍や論文
- Pittenger, D. J. (1993). The utility of the Myers-Briggs Type Indicator. Review of Educational Research.
- McCrae, R. R., & Costa, P. T. (1989). Reinterpreting the Myers–Briggs Type Indicator from the perspective of the five-factor model of personality. Journal of Personality.
おわりに
MBTIは、正しく受ければ自己理解や他者理解の強力なヒントになる一方、初心者が回答の仕方を誤ったり、バイアスに流されたりすると結果がブレやすい性質を持っています。大切なのは、結果を何度も鵜呑みにするのではなく、診断を受けるプロセス自体を自己分析の機会として捉えること。
- 「なぜこの設問で悩むんだろう?」
- 「自分は本当はこう思っているのに、理想を優先してるのかも?」
こうした“気づき”こそが、MBTIを使う醍醐味です。診断結果がブレたとしても、それは**「自分の中にある揺れ動く部分」**を見つめ直すチャンスと捉えましょう。柔軟に、そして冷静に向き合えば、必ずあなたの人間関係やキャリアにプラスになるはずです。