はじめに:なぜ「苦手分野」をMBTIで考えると克服しやすいのか?
自己成長やスキルアップのためには、得意を伸ばすだけでなく、苦手分野を補うことも大切。しかし、「自分が何を苦手としているか」「どう克服すればいいか」が見えないと、ただ漫然と努力しても成果が出にくい場合があります。
そこで役立つのが、MBTI(Myers-Briggs Type Indicator)という性格タイプの仕組み。MBTIでは4つの軸(外向/内向、感覚/直観、思考/感情、判断/知覚)を組み合わせて16タイプに分かれますが、そのタイプごとに得意・苦手がはっきりしやすいのが特徴です。
本記事では、16タイプ別に陥りやすい苦手領域や克服法を解説し、具体的な事例も紹介します。MBTIを参照しつつ、自分の弱点を明確にし、より効果的な対策を実行していきましょう。

1. MBTIの4つの軸が示す「苦手分野」の傾向
1-1. E/I(外向・内向)の苦手の方向性
- E(外向):
- 1人での長時間作業や深い内省が苦手。会話がない状況が続くとエネルギーが下がりやすい。
- クラスメイトや同僚との雑談が多く、集中力が途切れがち。
- I(内向):
- 人前でのプレゼンや大勢とのコミュニケーションが苦手。
- 自分の考えを積極的に発信しないため、周囲と誤解が生じやすい。
1-2. S/N(感覚・直観)の苦手の方向性
- S(感覚):
- 抽象的な話題や先の未来図を描くのが苦手で、ビジョン思考に乗り遅れる。
- 目の前にないものをイメージして議論することにストレスを感じる。
- N(直観):
- 細かい手順や具体的な実務が退屈に感じ、雑になりがち。
- 現実的・実用的な計画の詰めを怠り、空想ばかり先行しがち。
1-3. T/F(思考・感情)の苦手の方向性
- T(思考):
- 感情面の配慮が不足し、対人関係でトラブルを招く。
- 相手の気持ちを軽視して、論理的に「正しい」ことを押し通す。
- F(感情):
- ロジカルな議論やデータ解析が苦手。客観的・批判的な意見に傷つきやすい。
- 感情的に流され、冷静な判断を後回しにする場面がある。
1-4. J/P(判断・知覚)の苦手の方向性
- J(判断):
- 突発的な変更や柔軟な対応が苦手。自分の計画が崩れるとストレス大。
- 完璧主義になり、締切前に他の方法を検討する余裕がなくなる。
- P(知覚):
- 先延ばしや予定管理のルーズさが発生しやすい。
- 締切ギリギリにならないと本気を出さず、焦りがミスを生む。
2. 16タイプ別「苦手分野」と克服法:具体的事例
ここからは、16タイプごとに陥りがちな苦手分野と、その克服アイデアを紹介します。あくまで一般的傾向であり、個々の背景で違いはありますが、対策を立てる上でのヒントにしてください。
2-1. ISTJ(責任感が強い「管理者」タイプ)
苦手分野
- 柔軟な発想や突発的なイレギュラーへの対応。
- 他人の感情に気づくことが遅れ、コミュニケーションで誤解を生む。
克服法
- スケジュールに緩衝時間を設定し、予定変更にも余裕を持たせる。
- 他者の感情面に配慮するため、定期的な雑談や短い共有の場を設ける。話を聞く姿勢を意識。
2-2. ISFJ(献身的な「擁護者」タイプ)
苦手分野
- 自己主張が少なく、苦手なことを抱え込みやすい。
- 完璧主義で細部にこだわり、時間オーバーや疲弊を起こしがち。
克服法
- 「NO」を言う練習をする。自分のタスクと他者の依頼を明確に区別し、限界を超えそうなら断る。
- 「ある程度でOK」という考え方を導入。チェックリストで完了ラインを定める。
2-3. INFJ(理想を追う「提唱者」タイプ)
苦手分野
- 理想と現実のギャップに落ち込み、行動できなくなる。
- 内省しすぎて他者とのコミュニケーションが疎かに。
克服法
- ビジョンを具体的な計画に落とすサポートツール(マインドマップ、ガントチャートなど)を活用。
- 定期的に周囲に相談し、自己完結モードから抜け出す。チームと協力し、理想を形にする。
2-4. INTJ(戦略的な「建築家」タイプ)
苦手分野
- 完璧主義で「準備不足だからまだ動けない」と先延ばし。
- 人間関係や感情面を軽視しがちで、周囲との衝突を生む。
克服法
- プロトタイプ思考:まず最低限の形で動き出し、実際に試してから改善。
- 感情的なケアに意識を向け、「相手が何を感じているか」を推察する習慣をつける。少しでも共感を示す。
2-5. ISTP(実践派の「巨匠」タイプ)
苦手分野
- マルチタスクを嫌い、興味がないタスクは後回しにしやすい。
- コミュニケーションが淡泊で、周囲が「本気でやる気あるの?」と誤解することも。
克服法
- 先延ばし対策にポモドーロ・テクニックや短期集中法を導入し、興味薄いタスクも小分けで片付ける。
- コミュニケーションで意図を明確に。短くても良いので「今こう考えてる」と報告。
2-6. ISFP(優しい「冒険家」タイプ)
苦手分野
- 嫌なことを断れず、自己犠牲しがち。タスクを詰め込んでパンク。
- ロジカルな議論や批判に弱く、避ける傾向がある。
克服法
- 自分のキャパを知り、断る練習をする。「申し訳ないけど今は余裕がない」と言える勇気を持つ。
- 議論に参加するときは「どう感じたか」をまず伝えつつ、相手に質問してロジカル面を確認。
2-7. INFP(理想主義の「仲介者」タイプ)
苦手分野
- 現実的タスクや数値管理を後回しにしがち。理想だけ語って行動しない場合も。
- 批判に弱く、一度傷つくとモチベが下がる。
克服法
- 数値や具体的なタスクに落とし込むサポートツール(カレンダー、Todoリスト)を導入。最小限でも行動すると決める。
- 感情を表現・発散できるノートや創作でモチベーションを保ち、自分を承認する習慣を作る。
2-8. INTP(論理好きの「論理学者」タイプ)
苦手分野
- 興味のない実務や細かい作業を後回しにしがち。
- 完璧主義の論理詰めで永遠にスタートが遅れる。
克服法
- デッドライン先行でとりあえず行動開始。「失敗しても後で修正可能」という考えを持つ。
- 興味を高めるために、論理的に解明できるポイントを自分なりに設定し、探究心を引き出す。
2-9. ESTP(冒険心ある「起業家」タイプ)
苦手分野
- 長期的な計画やコツコツ作業が苦手。衝動的に別のことを始め、前のタスクが未完。
- 締切ギリギリのスリルを求め、失敗リスクを上げる。
克服法
- 外部プレッシャーを利用。周囲に期限を宣言し、見られている感覚を作る。
- 大きな目標を小ステップに分割し、毎ステップをクリアするたびに報酬や楽しみを設定。
2-10. ESFP(エンターテイナータイプ)
苦手分野
- 楽しくないと続けられない。コツコツ勉強やデータ処理など退屈なタスクは先延ばしがち。
- お金や時間の管理がルーズになりやすい。
克服法
- 何でもエンタメ化する工夫。仲間と一緒に作業、音楽かけながら進行、ゲーム要素を盛り込むなど。
- 収支や時間はアプリで数値化し、毎日チェックできる仕組みを人に協力して設定してもらう。
2-11. ENFP(創造性豊かな「広報運動家」タイプ)
苦手分野
- 一度熱中しても別のアイデアが浮かぶとそちらに飛びつき、現行プロジェクトが中途半端。
- 計画性が弱いまま突っ走って空回りする。
克服法
- やることリストを明確にし、どのアイデアをいつ試すか、優先順位をつける。
- 週1回のセルフレビューや仲間とのミーティングを設定し、「今進めるべきタスクは何?」を確認する。
- クリエイティブ要素と実務要素をバランスよく配置する。
2-12. ENTP(討論好きな「討論者」タイプ)
苦手分野
- 過度な理論構築で満足し、実行や細部調整を先延ばし。
- 人間関係での感情面に配慮しきれず衝突を起こす場合も。
克服法
- プロトタイプや実行フェーズを明確な締切で区切る。議論やアイデア出しを延々と続けない。
- 感情面は最初に軽く「相手はどう感じている?」と問うなど、感情確認ステップを設ける。
2-13. ESTJ(管理力ある「幹部」タイプ)
苦手分野
- 計画から外れる変化や突発対応に弱い。柔軟性がないと部下や家族が不満を抱く。
- 人を管理しすぎる余り、逆に自分の作業が後回しになる。
克服法
- 計画に余白を設定し、想定外が起きても対応できる仕組みを予め考えておく。
- 周囲をコントロールしすぎないよう、権限委譲する。自分のタスクに集中する時間を確保。
2-14. ESFJ(協調的な「領事官」タイプ)
苦手分野
- 他人に合わせすぎて自己がオーバーロード。疲れて先延ばしやミスにつながる。
- 批判やネガティブ評価に傷ついてモチベダウンするケースも多い。
克服法
- 自分の予定を周囲に明確に示し、必要なら断ることを覚える。
- 批判を建設的に受け取り、感情的に落ち込みすぎず改善に活かすスキルを養う(上司やコーチのサポートを得る)。
2-15. ENFJ(情熱的な「主人公」タイプ)
苦手分野
- 周囲を引っ張るあまり、自分のタスクが遅れがち。
- 感情の起伏が大きく、落ち込むと行動量が激減。
克服法
- 自分のタスクスケジュールをあえて他人に管理してもらうか、ツールで見える化。
- 感情が落ちたときのために、自己肯定リストや応援してくれる仲間との連絡先を確保しておき、素早くリカバリ。
2-16. ENTJ(戦略的な「指揮官」タイプ)
苦手分野
- 細部の確認やルーティン業務を後回しにしがち。
- 周囲との調整不足でトラブルが起きたとき、その対応が面倒で先延ばししてしまう。
克服法
- 細部をフォローできるパートナーやツール(秘書的アプリ、タスク管理システム)を活用。
- 周囲との定期的な進捗ミーティングを設け、問題が小さいうちに発見して対処。
3. 苦手克服のためにできる共通テクニック
3-1. 自分のタイプへの客観的アドバイスを取り入れる
- この記事や他のMBTI資料を読んで「なるほど、自分はこうだからこうしてみよう」と具体的行動を決める。
- 周囲やコーチにフィードバックを依頼し、改善サイクルを回す。
3-2. ツールの活用
- Todoリスト・プロジェクト管理:Trello, Notion, Asana, Googleタスク など
- 時間割・アラーム:紙の手帳でもOK。E/I軸やJ/P軸に合わせて使い分け。
- 日記・振り返り:手書きノートやデジタルジャーナル。感情面(F)なら感想重視、論理面(T)なら数値化重視など調整。
3-3. 他タイプの人との協力
- 自分の苦手分野を得意とするタイプと組めば相乗効果が大きい。
- 例:N型とS型がペアになるとビジョンと現実感が補完される。J型とP型が組めば計画と柔軟性が調和。
3-4. 小さな成功体験を積む
- 大きな苦手に一気に挑むのではなく、小さなステップに分割してクリア。達成感を得ながら自信を育む。
- 例:英語学習で先延ばしが多いENFPなら、まずは「1日15分」の短いセッションを1週間続ける→成功を実感→拡大。
4. よくある質問(FAQ)
Q4-1. 「タイプと違う行動をとって成長するのはアリ?」
A4-1: もちろんアリ。タイプに合わない部分を補うことで成長する。MBTIは現在の傾向を示すが、意図的に弱点を克服しようと取り組めば新しい行動様式も身につく。
Q4-2. 「複数タイプの特徴が当てはまる気がする…」
A4-2: テスト結果が曖昧になる人もいる。軸ごとに中間的な場合、E寄りのIやJ寄りのPなど微妙なバランスがある。苦手克服の際は両方の傾向を考慮して自分に合うアプローチを選ぶといい。
Q4-3. 「仕事・学業以外の趣味や家庭でも使える?」
A4-3: MBTIは対人関係・家族・自己啓発などあらゆる領域で役立つ。苦手分野(例えば家事管理や子育てコミュニケーション)にも応用でき、自分と相手のタイプを意識するとスムーズ。
5. まとめ:MBTIで苦手を超えて自己成長を加速させよう
- 苦手分野は誰にでもあるが、MBTIを活用すると、性格特性から苦手の原因を客観視でき、的確な補強策を取りやすい。
- 16タイプごとに「こういう場面が苦手」といった傾向があるが、必ずしも変えられないわけではない。むしろ理解することで、適切な対策や協力関係を構築できる。
- 最終的には、MBTIはあくまで傾向の可視化ツール。実際の行動とフィードバックでどんどん改善し、自分の可能性を広げていこう。
苦手を克服すれば、より多くのことにチャレンジできる自信と実力がついてきます。ぜひ本記事を参考に、自分や周囲のタイプを理解しながら、苦手分野を乗り越える具体的行動を始めてみてください。

参考文献・関連リソース
- Myers, I. B., McCaulley, M. H., Quenk, N. L., & Hammer, A. L. (1998). MBTI Manual: A guide to the development and use of the Myers-Briggs Type Indicator. Consulting Psychologists Press.
- 16Personalities:https://www.16personalities.com/
- 日本MBTI協会:https://www.mbti.or.jp/
- 自己啓発・行動科学関連書籍(『先延ばし克服法』『自分を操る超集中力』など)
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